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る恐れもあり、今後共、検証を重ねる必要がある。
(2)避航操船量による比較評価
上述した推定困難度の中核をなす避航空間閉塞度は、自船の周囲に存在する他船との衝突危険や陸岸への接近危険を網羅的に累積評価する指標であるが、評価する操船空間の範囲や重みの付け方など、更に検討を重ねるべき項目も残されている。一方、潜在もしくは残存する衝突危険とはトレードオフの関係にあると考えられる避航操船の星も、推定困難度を構成する要素として取り上げているが、これは図?−6−19に示したような楕円状の領域(自他船の船型、針路、速力等に応じて領域の大きさは定義される)に他船が侵入することがないよう避航操船した結果として生じる偏位量であり、この大小は操船の負担と明示的・直接的に関わるものであることから、別に抽出し比較を試みた。
(ここでの操作量は左右方向偏位と前後方向偏位の二乗和の平方根、すなわち、避航操船によって生じた偏位距離として取りまとめた。また、時間の単位はシミュレーションのステップタイムである15秒を採用した。因みに、50m/15secの偏位距離は、13ノットで航行中の船舶の速力半減や、30度近い変針避航に対応する。)
図?−6−42から図?−6−45には、来島航路東口および西口付近海域における平均的な避航操船操作量と、当該海域を航過中に最大となった操作量の出現頻度を示したが、やはり東口付近での改善が顕著である。
また、図?−6−46から図?−6−49は、最大の操作量が50m/15sec以上となった地点をプロットしたものであるが、東西の航路端付近において改善が見られる他、航路内においても大きい操作が見受けられる。これらは、主に追越しによって発生するものと考えられ、更なる軽減を図るためには別途の対応が必要となろう。

 

 

 

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